ヒルバーグ アクト Hilleberg Akto

ymnk

2010年11月28日 18:30

ヒルバーグ アクト Hilleberg Akto

このテントが家に届いた時の衝撃は忘れない。

テントという一商品を通じ、その向こうに製作者の人間像や哲学が見えた気がしたのです。


丈夫そうな金属パーツ、しっかりしたフロアの生地。加水分解しない生地。左右、中央のベンチレーション。
テントポールのスタッフサックは、トラブル時のリペアポールが上手に隠れるようになっていたり、テントペグ一つ一つ、細引きがついている。
製作者自らが使用者であるような、配慮や工夫が随所にある。

軽いテントは、それはそれで価値があるけれど、カタログスペックや某世界記録を作ることが、テントの目的ではない事を、このテントは教えてくれました。

それは人間の生き方、ライフスタイルが道具として結実したもの。
「重量は目的ではなく、真面目なテント作りの結果の数値でしかない。」

日常生活で数字、記録、目標に縛られて生きている私たち。
そんな日常から解き放ってくれる行為の一つとしてアウトドアはあるはずなのに、その世界でも数値や記録にこだわってしまう。

「数値」は便利で合理的なものですが、人間の幸福感や楽しさは、「数値」だけでは感じられない。
人間的な時間軸で生活をしている北欧の「真摯なものづくり」の姿勢に感動したのです。





造形と色彩

自然に溶け込む彩度の強いハッキリとした緑色。インナーの黄色とのコントラストも美しい。
ほぼ一定曲率のモノポールなので単調に見える造形を、
両脇のベンチレーションや中央のポールスリーブの黒が全体の印象を引き締めている。
内部から見たインナーはフライ色に溶け込み意外と落ち着く。
造形はシンプルだが、機能的で飽きる事はない。
見る角度によってカッコよくみえたり、かわいく見えたり。

テントの多い涸沢でも目立つので、他の方に目印にされていました。


機能性

◎:広い前室
横方向の前室は、靴を置いても煮炊きが出来る広さ。快適なベンチレーションで結露にも強いので停滞も苦にならない。

◎:長い室内
身長の低い人種のメリット。縦方向に長めなので寝ても頭上は余裕です。幅は広くないけれど狭さは感じない。高さはギリギリですがまあ気にならない。

◎:撤収に関して
土砂降り、降雪時など悪天候下でのそれは抜群。ザックが2気室ならクルクルっとまとめて、下に突っ込む事が出来る。

◎:耐風性
耐風性に関しては低さと、風を受ける面の角度、あと結局は重しになる石次第だと私は思う。
アクトの耐風性の高さは、テント高を低めに抑えている事、モノポールというシンプルな構造で、全方位からの風雨を逃がす事。
そして風を受ける面がネガ面(凹)で、風を逃がしやすいという事もあると思う。

台風並みの風に耐える事が出来て、自信と愛着が生まれました。
これがあればどんな状況でも耐えられる。



×:設営に関して
設営時の天候や状況によって、少しテンションが違うと設営の出来にムラがでる。

涸沢で。ペグが打ちにくいので、石だけで張れるようにスノーサンドアンカーで固定。でもだるだるだ。
うまく張れない時は結露しやすい。
http://www.columbiastore.jp/shop/g/g4536974371731/


冬もそう。ペグの固定が冬は大変なので、テンションのバランスを取るのが難しい。
こんなときは自立が楽だなと思う。じゃソウロ?

結論
でも重量もやはり気になる。
このテントを一言で言うなら「重量と信頼感のバランス」が、このテントの最大の特徴だと思う。

重くて信頼感のあるテントは他にもあるし、
軽くて信頼感の無いテントも沢山ある。

結局それは、個人の好みや山行スタイルに合わせればいい事だと思う。

未知の領域へと挑戦しようとする時、自らのスキルに対し、必ず不安や心配がつきまとうもの。
そんな時、このテントは挑戦する気持ちを後押しして、もう一歩先の見えない世界へ導いてくれる。








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